時代に寄り添う7曲とともに振り返る桑田佳祐の2021年

時代に寄り添う7曲とともに振り返る
桑田佳祐の2021年

桑田佳祐の2021年の活躍は特筆すべきものだった。ソロとしては約4年ぶりとなる新作のEP(ミニアルバム)「ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し」(通称「ごはんEP」)を9月にリリースすると、同作を引っさげて行われた全国アリーナツアー「LIVE TOUR 2021『BIG MOUTH, NO GUTS!!』」では、コロナ禍の困難な状況にもかかわらず、柔軟かつ渾身のパフォーマンスで多くのファンを魅了した。

圧倒的なキャリアを誇りつつもフットワーク軽く、常に現在進行形で良質の新曲を発表し続けている桑田。改めてじっくりと新作EPを聴いてみると、今の世の中や人の気持ちと寄り添うように歌と演奏が鳴り響いていることがわかる。彼の多彩な音楽性は、すべて今という時代が産み落としたものにほかならないのだ。本特集では、活動的な1年となった桑田の2021年を、近年リリースされた7つの楽曲とともに紹介する。

文 / 小貫信昭

「Soulコブラツイスト~魂の悶絶」

桑田本人も出演したユニクロ「ジーンズ」のテレビCMとのタイアップやNetflix映画「浅草キッド」の主題歌として知られるこの作品には1960年代後半から1970年代に流れていた日本のヒット歌謡へのオマ-ジュが込められており、ミュージックビデオもまさにそういった趣で制作された。かつて人々を勇気付けたヒット歌謡のように、この作品もまた、時を超えて聴き手の心に響く力を有している。サビに向けてなめらかに、かつパワーみなぎる桑田の名唱と、ホーンセクションを含むバンドの胸のすく演奏も聴きものだ。

「さすらいのRIDER」

桑田のこれまでの楽曲群とは趣が少し異なる「さすらいのRIDER」。男女が一夜を明かしたあと、男は行き先を告げずにどこかへ旅立っていく。そう、男はさすらうのだ。楽曲が後半へ差しかかると、“その瞬間”が訪れる。小説ジャンルで例えるならば「ハ-ドボイルド」といったところの本作において、バンドのタイトな演奏は、まるで時を刻むかのよう。しかし、この曲に登場する“RIDER”は、誰の心の中にも宿るものなのかもしれないとも受け取れる。しがらみの中で生きる人たちの、“自由への憧れ”の象徴なのだ。

「SMILE~晴れ渡る空のように~」

2020年に民放共同企画「一緒にやろう」の応援ソングとして発表されたが、東京五輪が1年延期となったことに伴い“歌の使命”も若干変化した。しかしそもそも桑田が歌に込めたのは、一瞬の勝ち負けがもたらす栄光より、その後の人生をいかに輝かせるかということ。このメッセージはアスリートのみならず多くの人々の胸へ届き、それぞれの中で“熟成”していったことだろう。丁寧に織られた布地のような楽曲アレンジといい、サビの優しいメロディといい、強引な部分が一切なく、これからも長く愛され続けられるであろう1曲だ。

「金目鯛の煮つけ」

アコースティックな伴奏と、普段の歌唱よりも朗々とした桑田のボーカルが印象的な「金目鯛の煮つけ」は、桑田本人も出演し、夫婦の機微をペーソス豊かに描いたSOMPOグループのテレビCMで使用された楽曲。この歌が我々に届けてくれるのは、徐々に暮れなずむ、見慣れた景色の中にある“かけがえのなさ”である。歌を作ったときに桑田の頭に思い浮かんだのは鎌倉駅の西口商店街の風景だというが、聴く人誰もが自分の住む街の“いつもの夕景”をこの曲に重ね合わせることができるだろう。

「炎の聖歌隊 [Choir(クワイア)]」

コロナ禍でエンターテインメント全般が疲弊する中、ファンとの再会を願い作られた「炎の聖歌隊 [Choir(クワイア)]」。歌詞の中には「楽しいショーが始まる」「開演お待ちどうさん」といった言葉が盛り込まれ、「ごはんEP」を引っさげ行われたツアーにおいても、セットリストの前半で重要な役割を担っていた。桑田のソロ曲ではあるものの、サザンオールスターズをイメージさせるような曲調も特徴的。カスタネットの音による軽快なアクセントが、夏の入道雲を連れてくるのだ。桑田が大きな影響を受けた、The Beach Boysの要素も垣間見られる1曲。

「鬼灯(ほおずき)」

桑田の近年の作風には、言葉を重んじ、そこから発想し、物語を紡ぐというものがある。「鬼灯(ほおずき)」はまさにそういった手法で作られた楽曲。桑田はレポート用紙に「鬼灯(ほおずき)」の文字を書き記し、そこからイメ-ジを広げて神社の境内の景色を連想。最終的に、時代に翻弄されて生き別れた2人の物語へと行き着いた。特攻隊の若者の悲運を描く曲としても受け取れるが、当初からそのようなテ-マを設定していたわけではなかったのだ。重みのある世界観だが、曲のテンポは軽快。両方の要素が相乗効果を生んでいる。

「悲しきプロボウラー」

10代の頃はプロボウラーを目指したこともあった桑田。近年は趣味としてボウリングと向き合い、普及活動にも尽力を惜しまない。近年は趣味としてボウリングと向き合い、普及活動にも尽力を惜しまない彼は、2021年8月には自身の名を冠したボウリング大会「KUWATA CUP 2020→2021 ~みんなのボウリング大会~ ONLINE MATCH」を開催した。桑田佳祐 & The Pin Boys名義では「レッツゴーボウリング」に続く第2弾作品となる「悲しきプロボウラー」(2020年リリース)。前作はボウリングの普及がテーマだったが、今回の楽曲の歌詞ではボウラーの悲哀が描かれ、自伝的な側面も垣間見られて興味深い。The Pin Boysと言っても演奏するメンバーはいつもの頼れる仲間たちなのだが、この名義での演奏は、より屈託なく音を楽しむ姿勢に満ちている。

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