「テレビ演劇 サクセス荘３」配信記念
立石俊樹×唐橋充インタビュー

役者として試され、鍛えられる場所（立石）

──お二人は今回が初共演なんですよね？

唐橋充そうなんです。そうそう、先ほど立石さんが秋田出身だと聞きまして。

立石俊樹唐橋さんは福島ご出身ということで、同じ東北なのでうれしいです。

──「テレビ演劇 サクセス荘」は撮影が本番一発勝負という、俳優にとって挑戦しがいのあるドラマだと思います。出演のオファーが来たときはどう思われましたか？

立石「サクセス荘」の評判の良さを知っていたので、新しい住人として加わることができて光栄に思いました。役者として試され、鍛えられる場所ですので緊張感もありましたね。

唐橋私は正直、「いろいろバレる」と思いました。演劇は約1カ月かけて稽古できるので、私みたいなセリフ覚えの悪い人間でも覚えられるんですよ（笑）。でも「サクセス荘」は、リハーサルが1回だけなので、これはマズいぞと。

──実際に撮影を経験された感想はいかがですか？

唐橋立石さん含め、共演者の皆さんは百戦錬磨のすごい方たちばかりで、段取りもセリフもすぐに頭に入るんですよ。撮影が始まってからもさすがの対応力で、笑いも取る。“演劇界のトップランカー”が揃っているなと感じました。

立石ご謙遜されていますが、唐橋さんが一番面白かったですよ！（笑） 第1回は唐橋さんのシーンからスタートするので、舞台袖から見ていたんですが、実力と経験の差を感じました。

唐橋今回、私がんばったんですよ。こんなにがんばったのは舞台「刀剣乱舞」以来だと思います……。

一同　（笑）

歴代キャストから洗礼を受けた（唐橋）

──「サクセス荘」では、毎回誰かがアドリブを仕掛けるところも注目ポイントですよね。

唐橋新住人の私たちは仕掛けられっぱなしですよ！ 「サクセス荘１、２」から出演している歴代キャストから洗礼を受けましたよね。あー怖い。

立石洗礼、受けましたね（笑）。でも唐橋さんは芯がまったくブレていなくてさすがでした。

唐橋本当ですか？

──アドリブを仕掛けられたときの対処法があれば教えてください。

唐橋リハーサルのときに「上手いこと返そうなんておこがましい」と思ったので、流れに身を任せようと。一番いいのは、「え？」って聞き返すことですね。強制的に相手のターンになりますから（笑）。

立石なるほど！ 今度その手を使いたいです（笑）。僕はアドリブが苦手なので「どうしよう」と思うのですが、芝居が止まらないよう平静を装っていました。

──収録後に行われる全員での反省会も見どころです。

唐橋皆さん、すごく温かくてね。

立石不慣れな部分もカバーしていただきました。

唐橋気遣いに溢れる方ばかりなので、反省会までじっくり見ていただきたいです。

マカロンより、ラーメン二郎！（立石）

──「サクセス荘」の物語は、成功を夢見る人たちが共同生活を送るアパートが舞台です。立石さん演じるマカロンはビューティーアドバイザーを目指しているという設定ですね。

立石最初に役の夢を聞いたときは、正直「敷居が高いな」と思っていました。僕は普段、撮影で化粧をしたらクレンジングできれいに落とすとか、出かける前にはシャワーを浴びて、ハンドクリームをつけるとか……そういったことを普通にしていたんですが、共演者から「なんか、いい匂いがする」と言われたときに「香水を3つ重ねて付けてるんです」と教えたら、結構驚かれて。「もしかしたらビューティーアドバイザー、向いてるのかも？」と思いましたね（笑）。

唐橋立石さんにピッタリの役だよね。

立石ありがとうございます。ただ、マカロンって可愛らしい名前なのですが、僕自身はマカロンよりラーメン二郎が大好きで……。

唐橋えー、親近感！ それはギャップ萌えだよ！（笑）

一同　（笑）

──一方、唐橋さんはテーマパークプロデューサーを夢見る百鬼（なぎり）役を演じられます。

唐橋テーマパークは私も好きで、よく子供を連れて遊園地に行ってたんですが、子供がまだ幼いのでアトラクションにほぼ乗れなかったんですよね。もし私がテーマパークをプロデュースするなら、ちびっ子でも楽しめる乗り物をたくさん作りたいです。

「サクセス荘」は演劇界における“現代のトキワ荘”（唐橋）

──立石さんは元消防士で、現在はダンス＆ボーカルグループIVVYのボーカリスト、唐橋さんはイラストレーターという顔も持たれています。俳優業を含め、多方面でご活躍のお二人から、世のサクセスを夢見る人たちにアドバイスがあれば教えてください。

立石その道で成功できるかどうかは誰にもわからないですが、何か夢があるなら、そこを目指して一歩を踏み出した経験は、大切になってくると思います。どんな夢であっても思い残すことがないよう、まずはチャレンジしてみてほしいですね。

唐橋その通りですね。私は、まずその道のプロや憧れの人に会ってみるという経験も大事だと思います。例えば、私は若い頃、アルバイトで演劇集団キャラメルボックスの仕込みのお手伝いをしたりして、演劇界のトップにいる人たちを間近で見ていたんですね。そのとき、“俳優”なのか“裏方”なのか、自分がどちらに向いてるかが大体わかった。「自分、釘打つの上手いな」とか思いながら（笑）、「出る側の人じゃない」と思って身を引いて、宣伝美術を手がけるデザイナーの道に進もうと思ったんです。

──そこからイラストレーターという道につながっていったんですね。

唐橋そうなんです。プロの現場を体験してみることで、己が何者であるかを知ることができると思います。

──ありがとうございます。では最後にドラマの視聴者に向けてメッセージをお願いします。

立石「サクセス荘」は、撮影中に何が起こるかわかりません。それは視聴者の方々もそうだと思います。僕自身、アクシデントさえも楽しみながら、予測不能でワクワクできるドラマを生み出していければと思います。ぜひお楽しみに。

唐橋私は手塚治虫さん、藤子不二雄さん、赤塚不二夫さんといったマンガ家が集って暮らしていたトキワ荘が大好きなんです。「サクセス荘」は、演劇界における“現代のトキワ荘”だと思っています。「こんなにすごい役者たちと、同じ時代、同じ場所にいたんだ」という時間を最終回まで刻み続けたい。その1ページをぜひご覧いただきたいです。